自分の一代前、二代前、三代前と遡っていくプログラムを組み立てて、生命の連続性や有限性を想像する活動です。自分の祖先の数は、一切の重複が無いと仮定すると、(2のn乗-1)×2で計算ができ、19代前で1048574人となり、100万人を突破します。(実際には重複があるので、これよりも遥かに少なくなります。)小学生の児童にとって、現実的に存在をイメージできるのは両親、祖父母、曾祖父母くらいまでではないでしょうか。生命が多くの生命のつながりにあるかけがえのないものであることを理解し、生命を尊重する態度を養うには、「自分」という存在のルーツを考えることが一つの手立てであると考えます。
| 教科 | 関連とコメント |
|---|---|
| 特別の教科 道徳 | 学習指導要領解説特別の教科道徳編/第2節道徳科の目標/3自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める/(3)人間としての生き方についての考えを深める/には、「また、人間としての生き方についての自覚は、人間とは何かということについての探求とともに深められるものである。生き方についての探求は、人間とは何かという問いから始まると言っても良い・・・」とあります。この活動では、自分の代から遡っていくと先祖の数が増えていく簡単なプログラム作成を通して、自分がたくさんのご先祖様からのいのちのリレーの結果この世に産まれてきたことをとらえ、改めて人間としての生き方について考えを深めます。 |
| プログラミング | 学習指導要領解説総則編/第3節/1主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善/(3)コンピュータ等や教材・教具の活用、コンピュータの基本的な操作やプログラミングの体験/イ児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身につけるための学習活動/に「また、小学校に置いては特に、情報手段の基本的な操作の習得に関する学習活動およびプログラミングの体験を通して論理的思考力を身につけるための学習活動を、カリキュラム・マネジメントにより各教科等の特質に応じて計画的に実施すること・・・とあります。ビスケットによる「プログラミングと教科の経験学習」(V-EXLIPS)は、各教科等の特質に応じて学習内容をコンピュータに処理をしてもらうためのプログラミング的思考(自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけばより意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力)を育成する活動です。 |
この事例における内容項目の指導の観点は「D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること」の19「生命の尊さ」ですが、「特別の教科 道徳」は、他教科等と異なり、観点別の評価は行わず、大くくりなまとまりを踏まえた記述評価をします。
道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議(平成28年7月22日)による「特別の教科 道徳」の指導方法・評価等について(報告)の(道徳科の評価の在り方)では、次のように述べられています。〜冒頭省略〜資質・能力の三つの柱や道徳的判断力、心情、実践意欲と態度のそれぞれについて分節し、観点別評価(学習状況を分析的に捉える)を通じて見取ろうとすることは、児童生徒の人格そのものに働きかけ、道徳性を養うことを目的とする道徳科の評価としては、妥当ではないこと...とあります。
※ビスケットの操作が初めての場合は、「学校でビスケット3」や自由制作を行ってから本案を実施してください。教科の学びをさらに深めたい場合は調べ学習を別コマで行ってください。機材環境がPCの場合は、児童のマウス操作の習熟度合いにもよりますが、1.5〜2倍の作業時間を想定してください。
| 流れ | 時間 | 活動内容 | 教師の動き | 指導上の留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 体験する | 15分 | 教師によるデモを見ながらいのちのまつりプログラムを,個人(ペア、グループ)で作ってみる。 | 自分から祖先を遡っていく簡単な図を板書したり資料を配布して確認し、自分の祖先はどのくらいの人数がいるのかを想像させ、いのちのまつりプログラムのデモをする(または動画を見せる。)全メガネが載っているチートシート兼ワークシートを作っておき、デモ後にそれを配布する。 | この活動では、デモプログラムの組み立てのみ行うが、オリジナル制作の意欲が高い場合は2コマで行う。このプログラムはパーツの配置がずれると、家系図のように祖先がうまく表示されないことがあるので、机間指導でサポートをする。プログラムの詳細にとらわれすぎず、自分という存在を遡っていくと祖先の人数が爆発的に増えることをとらえさせたい。 |
| ふりかえりをシェアする | 10分 | 個人(ペア、グループ)で、モデルプログラムを作った中でどんなことが起こったかを、教科やプログラミングの視点でふりかえる。全体でシェアする。 | 自分の祖先の数がとても多いことに気づいた児童の発言を交流する中で、祖先に関する説話などを取り入れて、自分自身の生命の尊さを深く考えていくよう促す。 | このプログラムは祖先が爆発的に増殖する「無限ループ」になっている。プラグラミングの観点では、フリーズ防止のためにある程度数が増えた時点でそれ以上増えない工夫がされていることを伝える。 |
| 生命の偶然性・有限性・連続性について考える | 15分 | 自分が今ここにいることの不思議や、生命にいつか終わりがあること、その消滅が不可逆的で取り返しがつかないこと、生命はずっとつながっておりともに関わり合っていることを考える。 | 発問や教材を吟味して、プログラミングの体験も生かしながら、生命の偶然性・有限性・連続性について考えるよう促す。 | 祖先をどんどん遡るとどのくらいの人数になるのかについて興味をもつ児童が考えられる。正確な数は計算できないが、我々の祖先はどこかでみんなつながっていることを押さえる |
| ワークシートをまとめる | 5分 | 自分自身の命のつながりについて考え、ワークシートに感想をまとめる。 | 児童の生育環境・家庭環境などを事前に把握しておき、児童理解に努める。 | プログラム作成は、自分のいのちのつながりを主体的に考えるための活動だが、身の回りの動植物はどうなのか全体に投げかける。動植物も同様にいのちのリレーの最中に生きていることへの気づきを促し、生命に対する畏敬の念に根ざした自己理解や他者理解、人間理解、自然理解へとつなげていくことが大切である。 |
| 視点 | 指導上の留意点 |
|---|---|
| 教科として | ペアやグループなど、学習形態を工夫し、より多くの児童が主体的・対話的で深い学びを実現できるよう配慮する。 |
| プログラミング教育として | 活動に個人差があるので、早く終わった児童は他の児童から求められた時には教えにいくようにすると、学級作りとしても教え合う集団作りができる。教える際は、手を出して代わりに作るのではなく、やり方を説明した後、質問した児童本人が考えて手を動かすような教え合いができることが求められる。 |
いのちのまつりプログラムの全メガネです。メガネは6つです。⬇️

いのちのまつりプログラムの全パーツです。⬇️

マス目の設定は真ん中です。メガネを6つ出します。⬇️

自分をステージの中央下部に置きます。⬇️

「父母ボタン」をステージ上の自分の1マス上に置きます。⬇️

メガネの左に「父母ボタン」とタッチマークを入れ、メガネの右にTの字型の分岐を入れます。⬇️

画像のように、Tマークから3マス離して「父母」のパーツを入れます。これで「父母ボタン」を押すと、自分の一代上の「父母」のパーツが表示されます。⬇️

画像のように「祖父母ボタン」をステージ上の「父母」のパーツの1マス上に置きます。⬇️

メガネの左に「祖父母ボタン」とタッチマーク、メガネの右にTの字型の分岐をいれます。⬇️

画像のようにTから1マス離して「祖父母」のパーツを入れ、その1マス上に「曾祖父母ボタン」を入れます。⬇️

左に「曾祖父母ボタン」とタッチマークを入れ、右にTの字型の分岐を入れます。⬇️

右には「曾祖父母」のパーツをTマークの左右に置きます。⬇️

画像のようになるように、「ご先祖様ボタン」を1マス上に置きます。⬇️

左のメガネに「ご先祖様ボタン」とタッチマーク、右のメガネには「ご先祖様⓵」のパーツを入れます。⬇️

左に「ご先祖様⓵」を入れ、右のメガネは「ご先祖様⓶」を1つと「ご先祖様⓵」2つ、説明画像のように入れます。これは「ご先祖様⓵が発生すると、1つ上の世代を生成する。」という命令です。⬇️

左のメガネに「ご先祖様⓵」のパーツを重ねて2つ入れます。右のメガネは、説明画像のように、中央から左右1マス開けて「ご先祖様⓵」のパーツを1つずつ入れます。この命令は、「ご先祖様⓵」のパーツが増殖していく時に、「2つ重なった時に左右に広がる」というもので、見やすくするための命令です。⬇️

お好みでメガネの右側に音符マークを入れて効果音を設定したら完成です。⬇️
