<学習指導要領との関連(学習指導要領解説編をご参照ください)>
| 教科 | 関連とコメント |
|---|---|
| 国語 | 学習指導要領解説/第3章/第1節1[知識及び技能]/(1)エには、「第1学年の配当漢字には、象形文字や指事文字が多く含まれているので、漢字の字形と具体的な事物(実物や絵など)とを結びつけるなどの指導を工夫し、漢字が表意文字であることを意識しながら、漢字に対する興味や関心を高められるようにする」とあります。アニメーションで漢字の成り立ちの理解を深めます。 |
| プログラミング | 学習指導要領解説総則編/第3節/1主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善/(3)コンピュータ等や教材・教具の活用、コンピュータの基本的な操作やプログラミングの体験/イ児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身につけるための学習活動/に「また、小学校においては特に、情報手段の基本的な操作の習得に関する学習活動およびプログラミングの体験を通して論理的思考力を身につけるための学習活動を、カリキュラム・マネジメントにより各教科等の特質に応じて計画的に実施すること」・・・とあります。ビスケットを教科内の学習で行う活動(V-EXLIPS)は、各教科等の特質に応じて学習内容をコンピュータに処理をしてもらうためのプログラミング的思考（自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけばより意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力）を育成する活動です。 |
<学習指導要領の３本の柱に基づくねらい・評価規準>
<知識・技能>
| 視点 | ねらい・評価規準 |
|---|---|
| 教科として | 漢字の形や成り立ちを調べ、それぞれの形に意味が込められていることに気づき、「象形文字」「指事文字」「形声文字」「会意文字」という分類の仕方で漢字の形や成り立ちを捉えて正しく理解している。 |
| プログラミング教育として | 漢字の成り立ちを手順としてアニメーションで自然に見せるには、順を追って１コマずつプログラムにより作ることが必要だと気づいている。 |
<思考力、判断力、表現力>
| 視点 | ねらい・評価規準 |
|---|---|
| 教科として | 漢字の形や成り立ちを調べ、１コマずつプログラミングで表現する活動を通して、漢字の成り立ちに興味・関心を持ち、多様性に気づくとともに規則性を見出したり、既習事項を用いて表現したりしている。 |
| プログラミング教育として | 漢字の成り立ちをアニメーションとして完成させるために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一連の描画に対応したパーツをどのように組み合わせて行くかを論理的に考えている。 |
<学びに向かう力・人間性等>
| 視点 | ねらい・評価規準 |
|---|---|
| 教科として | 個人・ペア・グループなど学習の形態を変え、友だちの考えから学ぶ機会を設定するとともに、漢字の学習を成り立ちや意味に着目して捉えることで、漢字が形成されてきた歴史や背景にも興味をもち、「象形・指事・形声・会意」といった成り立ちを自分のより良い学習に生かそうとしている。 |
| プログラミング教育として | 漢字の学びにプログラミングを取り入れる活動を通して、コンピューターの便利さを学習に活かし、自らの思考のプロセス等を客観的に捉えている。 |
授業の流れの例(V-EXLIPS略案:45分、タブレット推奨)
※ビスケットの操作が初めての場合は、「学校でビスケット3」や自由制作を行ってから本案を実施してください。教科の学びをさらに深めたい場合は調べ学習を別コマで行ってください。機材環境がPCの場合は、児童のマウス操作の習熟度合いにもよりますが、1.5〜2倍の作業時間を想定してください。
| 流れ | 時間 | 活動内容 | 教師の動き | 指導上の留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 体験する | 15分 | 教師によるデモを見ながら漢字の成り立ちプログラムを,個人（ペア、グループ）で作ってみる。 | 題材とする漢字の書き順を確認し、漢字の成り立ちプログラムのデモをする（または動画を見せる。）全メガネが載っているチートシート兼ワークシートを作っておき、デモ後にそれを配布する。 | 「象形文字」「指事文字」「会意文字」「形声文字」のポイントが分かるように板書したりワークシートを準備したりしておく。 |
| ふりかえりをシェアする | 5分 | 個人（ペア、グループ）で、モデルプログラムを作った中でどんなことが起こったかを、教科やプログラミングの視点でふりかえる。全体でシェアする。 | オリジナルを作ることを知らせ、児童の感想や疑問の発言を促し、関心・意欲を高める。 | 「象形文字」「指事文字」「会意文字」「形声文字」のポイントを理解しているか、定義を再度おさえる。 |
| オリジナルを考える | 5分 | 自分がつくりたい漢字の成り立ちプログラムに使用する漢字を決定し、成り立ちを確認してワークシートにメモしておく。 | 漢字の成り立ちに関する資料等を準備しておき、板書したり配布したりする。机間指導で児童の進捗状況を把握する。決定に時間がかかっている児童には、作りやすいモデルを提案し、活動を促す。 | 児童が成り立ちを調べる際に使うツール（資料、辞書、漢字アプリ等）を準備しておき、いつでも使えるようにしておく。 |
| トライアル&エラー | 20分 | 個人（ペア、グループ）で自分のプログラム作成に取りかかる。早くできた児童はワークシートにまとめを書き、友だちのサポートに回る。交流はその都度行う。 | 机間指導で児童の進捗状況を把握する。紹介したいプログラムを見つけたら紹介する。（ワークシートは教科についてのふりかえりとプログラミングのふりかえりの両方が簡潔に記入できるものを準備しておく。） | お互いに作ったプログラムを実行しながら漢字の成り立ちを確認しあうよう声かけをする。 |
活動全体を通しての留意点
| 視点 | 指導上の留意点 |
|---|---|
| 教科として | ペアやグループなど、学習形態を工夫し、より多くの児童が主体的・対話的で深い学びを実現できるよう配慮する。この活動によって、漢字により興味・関心が高まった児童は、既習事項外の漢字について興味・関心が出てくることがある。デジタルアナログに拘らず、児童の調べたい漢字を検索できるツール（国語辞典、漢字辞典、アプリ、電子辞書等）を準備しておくと、主体的・対話的で深い学びに繋がる活動に導きやすい。従来通りの活動実施後に取り組み、学習に対する関心・意欲の高め、理解を深化させる活動の一環として行う。 |
| プログラミング教育として | 活動に個人差があるので、早く終わった児童は他の児童から求められた時には教えにいくようにすると、学級作りとしても教え合う集団作りができる。教える際は、手を出して代わりに作るのではなく、やり方を説明した後、質問した児童本人が考えて手を動かすような教え合いができるよう促す。 |
プログラムの作り方
漢字の成り立ちプログラム作り方動画
漢字の成り立ちプログラム解説
歯車マークをタップして背景色を変えます。最下段のバーでマス目にします。
象形文字の「山」の成り立ちを４コマアニメーションにします。まずは、２、３連なった１コマ目の山を描きます。⬇️
1コマ目の山をタッチして、同じトーンで2コマ目の山を描きます。ここでは1コマ目の山を繋げて単色で描いています。⬇️
2コマ目の山をタッチして、同じトーンで3コマ目の山を描きます。2コマ目の山と漢字の「山」の中間点です。⬇️
4コマ目の「山」という漢字を書きます。これで「山」の成り立ちの描画は終わりです。⬇️
指事文字の「下」の成り立ちを3コマのアニメーションにします。1コマ目は、上に天井（黒い線）を描き、その下方に赤い玉がある状態を描きます。⬇️
2コマ目は上に天井を（黒い線）を描き、中心付近から垂直に線を下ろします。⬇️
3コマ目は「下」という漢字を書きます。これで「下」の成り立ちの描画は終わりです。⬇️
会意文字の「岩」の成り立ちを足し算の式のアニメーションにします。ますは、「山」という文字を書きます。⬇️
次に「石」という文字を書きます。⬇️
次に+と＝を描きます。⬇️
さらに「岩」という漢字を書きます。これで「岩」の成り立ちの描画は終わりです。⬇️
形声文字の「草」の成り立ちを足し算の式のアニメーションにします。まずは、「早」という文字を書き、「ソウ」という読み仮名を添えます。⬇️
次に艸（草冠）を描きます。⬇️
さらに「草」という漢字を書き、「ソウ」という読み仮名を添えます。これで「草」という漢字の成り立ちの描画は終わりです。⬇️
描画が終わったので、ステージにパーツを配置してプログラムしていきます。それぞれ１コマ目となるパーツを並べます。「岩」と「草」は足し算の式のように並べます。⬇️
メガネを７つ並べます。⬇️
「山」という漢字の成り立ちをプログラムしていきます。メガネの左に１コマ目の山の絵を入れ、タッチマークを重ねます。右に2コマ目の山の絵を入れます。⬇️
左に2コマ目の山を入れ、右に3コマ目の山を入れます。⬇️
左に3コマ目の山を入れ、右に「山」という漢字を入れます。⬇️
ここでプログラムが動くか確認をしてみましょう。１コマ目→２コマ目→3コマ目→「山」と変化したらOKです。「山」は物の姿形をかたどった象形文字です。⬇️
「下」という漢字の成り立ちをプログラムしていきます。メガネの左に1コマ目の「天井（黒い線）の下に赤い玉」を入れ、タッチマークを乗せ、右に2コマ目の「横棒＋垂直線」を入れます。
左に2コマ目の「横棒＋垂直線」を入れ、右に「下」という漢字を入れます。⬇️
確認してみましょう。「天井（黒い線）の下に赤い玉」→「横棒＋垂直線」→「下」と変わればOKです。「下」は形を表しにくい物を点や線を使ったり印をつけたりして表す「指示文字」です。⬇️
「岩」という漢字の成り立ちをプログラムしていきます。メガネの左に「山＋石＝」と入れ、右に「岩」という漢字を入れます。⬇️
＋の上にタッチマークを入れます。⬇️
確認してみましょう。「山＋石＝」が＋を押すと「岩」に変化します。「岩」は2文字以上の漢字の形・意味が出会った「会意文字」です。⬇️
「草」という漢字の成り立ちをプログラムしていきます。左に「早＋艸（草冠）」を入れます。右に「草」という漢字を入れます。⬇️
＋の上にタッチマークを入れます。⬇️<
確認してみましょう。「早＋艸（草冠）」→「草」と変わればOKです。「草」は事物の累計を表す記号と発音を表す記号を組み合わせる「形声文字」です。⬇️
お好みで、右のメガネに音符マークを入れると、完成時に効果音がなります。以上で「漢字の成り立ちプログラム」は完成です。
